世界最古の庭園
- Kazushige Maeda
- 7月13日
- 読了時間: 3分
更新日:7月15日
世界最古の庭園はどこか?
この問いには、複数お候補や解釈が存在します。
考古学的証拠や文献資料に基づいて確認される主なものをご紹介します。
1. メソポタミアの庭園 (紀元前4000年代~)
庭園の概念が誕生したのは、灌漑技術が発達したメソポタミア地域が有力視されています。
初期の庭園
紀元前4000年代にペルシア(現在のイランのあたり)で庭園の痕跡を確認できます。
初期のメソポタミア文明では、
果樹園や菜園といった食料自給のための実用的なものとともに、
王宮や神殿に儀式的な空間が組み合わさった庭園が作られ始めたとされています。
シュメール・バビロニア・アッシリア

これらの文明では、都市の中に水を引いたり、棚田のような構造を作ったりして、乾燥地帯に緑の空間を創出する試みが行われました。
有名なものに、「バビロンの空中庭園」がありますが、これは世界の七不思議の一つで、
実在したかどうかは未だ議論の渦中にあります。
アッシリア王センナケリブが建設した庭園が
その原型であったという説も有力です。
アッシリアの宮殿の浮彫りには、
贅沢な庭園が描かれており、
水路による給水システムも確認できます。
2. 古代エジプトの庭園 (紀元前1500年頃~)
古代エジプトでも、非常に古い時代から庭園が造られていました。
墓地の庭園
紀元前2000年頃のエジプトでは、美しい花や樹木を楽しむ庭園として、
バラの塀に囲まれた四辺形の幾何学模様をした花壇があったといいます。
2017年には、エジプトで約4000年前の墓地の庭園が初めて発見され、
ワイルドレタスやナス、花などを育てていた形跡が確認されました。
宮殿の庭園
宮殿の庭園には大きな池が数多く造られ、
ボートを漕げるほどの広さを持つものもあったとされています。
3. パサルガダエ庭園 (紀元前6世紀) - 現存する最古のペルシャ式庭園
現在、考古学的に確認できる最古の庭園遺跡として挙げられるのが、紀元前500年代に建設されたイランのパサルガダエ庭園です。
チャハル・バーグの原型
この庭園は、ペルシャ式庭園の代表的な様式である
「チャハル・バーグ(四分庭園)」の原型と考えられています。
これは、水路によって庭園が四分割される幾何学的な配置を特徴とし、
ゾロアスター教の「楽園」思想を反映しているとされます。
世界遺産
パサルガダエ遺跡の一部として、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
まとめ
「世界最古の庭園」という場合、単に植物を植えた場所という意味であれば、古代メソポタミアやエジプトの初期の庭園が挙げられます。しかし、「庭園」として明確な設計思想や様式を持ち、かつその遺跡が現存しているものとしては、紀元前6世紀に造られたペルシャのパサルガダエ庭園が最も古いとされています。
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