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結婚記念日に花束を

花を贈る方、贈られる方

それぞれに人生、ストーリーがあって、

花をお届けに上がるとき、お目にかかれることがあります。


先日、遠方からのご依頼を承った時のことです。

お花屋さんをしておられる方でしたらご存じのことかと思いますが、

沖縄から東京へ、あるいは北海道から神戸へなどといった、

遠くの方にお花をお贈りする時、

ウェブサービスを経由してご依頼を受けられた花屋さんから、

贈り先に最も近い花屋さんに製作とお届け依頼がくることがあります。


先日、私共がお受けしたのは御結婚記念日のお花を奥様にお届けしたいとのご依頼でした。

普段、お届けの一週間か二週間前にご依頼をいただいて、お届け日や内容を確認します。

ただ、今回のご依頼は承った花屋さんが半年前にいただいたものだったようです。


「妻が、赤い薔薇が好きなので、結婚記念日に薔薇を入れた花束を贈ってほしいです」


ということでした。

単身赴任だったり、長期出張だったり、様々理由はございますが、

ご主人様が遠方にお住まいの奥様にお花のお届けをしたい、

というお話は珍しいことではありません。


“奥様思いの、いい旦那様なんだろうな”


ご依頼をいただいた私どもにも気合いが入ります。

せっかくの結婚記念日ですから。


ご依頼の通り、赤い薔薇を使った花束を作り、お届けする日となりました。

事前にご自宅にいらっしゃるか確認するため、お電話を差し上げました。


「はい・・・」


とお電話口の奥様は、怪訝なお声でした。

無理もありません。この時代、怪しい電話が多いものですから、

おうちの固定電話にかかってくる電話には警戒するものです。


「私ども、花屋なのですが、お花のお届けに上がりたく、お電話差し上げました。本日ご在宅でしょうか?」


「お花ですか?ありがとうございます!」


と、お届けであることをお伝えするとお声が明るくなりましたので、一安心しました。

終日、ご在宅ということで、制作も終えておりましたので早速お伺いしました。


“喜んでいただけるといいな”


と、お電話口のお声から楽しみにしておられる様子でしたので、

花束を気に入っていただけるかどうか、気にしつつ向かいました。


お届けにあがり、お出迎えくださり見ていただきましたところ、


「とても綺麗ですね!ありがとうございます!」


と、笑顔でお出迎えいただけましたので、一安心しました。

御依頼主の、ご主人様に代わってお届けしますので、

奥様のお喜びの様子をお伝えしよう、と思い帰ろうとした時です。

ご依頼主様であるご主人様のお名前を見て、奥様の顔色が変わられました。


「これ、本当にこの名前の人からの花束ですか?」


瞬間、何かマズイことでもあったのかと止まってしまいました。


「はい、遠方からのご依頼ですので直接私が承ったわけではありませんが、頂いたご依頼表のお名前には間違いないはずです・・・」


と不安に思いながらご返答しましたところ、

奥様の目が赤くなり、涙が浮かび始めました。


「主人は今年の一月に亡くなっているんです」


衝撃の一言でした。


難病に罹っておられたこと。

単身赴任ではなく、治療のため遠方の病院に入院されたこと。

毎年、結婚記念日には欠かさず花をくれたこと。


無事に完治して奥様とともに生きる強い意志を持っておられたのでしょう。

毎年、花を贈る結婚記念日に、

奥様の喜ぶ顔を見るために、

病気を治して家に帰るために、

計り知れない、もっともっと多くの想いを込めて、

花のご依頼をいただいたのでしょう。

半年も前に、お花のご依頼をされたのは、そういうことだったんだと。


お聞きした私も、涙が止まりませんでした。


「私の人生の中で、今日の花が一番嬉しい」


と、奥様はおっしゃいました。


それぞれに人生、ストーリーがあって、

花をお届けに上がるとき、お目にかかれることがあります。


言葉ではあらわせない気持ちを届けられるということを、

強く感じたご依頼でした。

 
 
 

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